2011 年 12 月、吉祥寺のライブハウスに行きました。城田純二さんの「城田純二+内藤稀花、Keep Her Lit! 発売記念」ライブです。
城田さんは 2003 年から演奏を止めていました。2010 年から、演奏を再開したと噂で聞きました。他のファンの方もそうだろうと思いますが、
私も心の整理はついておらず、行くか行かないか迷いました。けれども、行かないと後悔しそうだったので、行くことにしました。
結果は素晴らしかったです。8 年のブランクを感じさせませんでした。正確な指使いとストロークで、夢のように美しいアイリッシュを
聞かせてくれました。それに加え、親友だった故坂庭省悟さんの歌も素晴らしかったです。
もともと、城田さんは歌がギターほど得意ではありません。それでも、素晴らしいというのはどういうことでしょうか。
自分が不得意でも、坂庭さんの歌を歌い継ぐことによって、坂庭さんの記憶が皆の中で風化するのを止めようとしていました。それが、
痛いほど伝わってきます。坂庭さんはいないものの、坂庭さんがあたかもいるかのように感じられました。
これは、そこにいるお客さんの頭の中に坂庭さんの歌う姿がうかんでいるからに他ありません。あんな感覚は味わったことがありません。
そりゃ、思い込みだよと言われればそうかもしれません。でも、あの場にいた方なら共感してくださると思います。
ギターを聞き、歌を聞き、チューニングのあいま(チューニングが多い)に話を聞いていると、この 8 年間のことは悪い夢ではなかったかと
思えるほどでした。
城田さんの年齢からいって、もう聞けないかもしれないと半ば諦めていました。こんなに早く聞けるとは。この想いは私だけではないものらしく、
隣のスーツ姿のおじさんも目頭を押さえていました。
行く前は、CD は我慢しようと考えていたのに、聞いているうちにそんな克己心はどこにやら。買った CD は 1 年以上頻繁に
聞いています (高校生かよ)。
ライブも素晴らしかったのですが、この CD 「Keep Her Lit!」も最高です。城田さんが出した以下の CD はすべて持っていますが、
その中でも一番いいですね。
Jodys' Heaven
Garden of butterflies
Dana Lyn & Junji Shirota
From there to clare
Heathery Breeze
Waterside
Sally Gardens
The everlasting
特に、2、3 曲目のメリハリのあるギターのカッティングは聞いたことがなく、曲の終わりに向けて高まっていく感じは最高です。
スパニッシュ・ギターなどにある技法なのでしょうか。でも、フォーク、アイリッシュで聞いたことはありません。また、内藤稀花さんの
息のあったバイオリン、それに加え、今まで入っていなかったベースが入り音の厚みが増しています。ファンの方にはお勧めです。
(2013 年 2 月 3 日)