牛乳に関する参考文献とリンクを紹介します。
参考文献
題名 著書 出版社 コメント 1 日本の山地酪農 猶原恭爾
資源科学研究所
山地酪農のバイブルです。以下の文献の大半が読みものであるのに対し、この書は山地酪農の概念から詳細な酪農技術、経営について数値をあげて説明している技術書です。
しかも、大変分かりやすく書いてあります。残念ながら入手することは困難ですが、国立国会図書館でデジタル化されており、今後は国会図書館と提携している図書館の端末からも見られるでしょう。
2 アニマル・ファクトリー
ジム・メイソン/ピーター・シンガー
現代書館
アメリカの巨大資本により、酪農が農業ではなく、肉を生産するための工業へと変換してきたことがよく分かります。また、それにより、消費者、生産者、家畜自身がどのような影響を受けたかも分かります。
3 日本畜産再生のために
増井和夫
農文協
畜産物の安全や品質問題に絡む信頼回復、品質問題に深く絡む飼料供給構造の変革について説明しています。
飼料供給構造を変えるためにも、輸入による飼料を与えるのではなく、土地利用型畜産に変えることを説明しています。
その一環として田野畑山地酪農牛乳が取り上げられています。筆者はジャーナリストであるため、他の本に比べると、見方が的確であるように思います。ただし、専門書であるため、読み物としては読みにくいかもしれません。
4 牛が拓く牧場
斎藤晶
地湧社
北海道で口蹄法を実践する斎藤さんの取り組みを説明しています。
5 牛乳の未来
野原由香利
講談社 斎藤晶さんを中心に取り上げているため、従来の酪農の問題点、山地酪農のメリットに関する説明はありません。また、斎藤さんを中心に聞き書きをしているので、 「牛が拓く牧場」ほどの説得力もありません。
最も同意できない点は「山地酪農に将来は無い」と断言していることです。
6 草の牛乳
野原由香利
講談社 北海道の酪農が中心に説明されています。山地酪農を中心に取り上げている訳ではありませんが、前作の「牛乳の未来」と比べると山地酪農を評価するように変わってきているように感じます。
7 マイペース酪農
三友盛行
農文協
高泌乳化、多頭化の矛盾を指摘しています。少ない頭数でも経営が成り立ち、時間の余裕がある生活をできることを説明しています。
山地酪農に関する本ではありません。ちなみに、吉塚家の息子さんは三友牧場で勉強させていただいています。
8 幸せな牛からおいしい牛乳
中洞正
コモンズ
牛乳にどのような種類があるかを説明しているのは分り易く感じました。また、猶原博士の功績に触れています。
9 モー革命
古庄弘枝
教育資料出版会
山地酪農の提唱者の猶原博士とその後継者が良く分かります。猶原博士の人間的魅力にも触れているのに加え、乳価の仕組み、畜舎飼いの弊害、輸入穀物を家畜に与える一方で世界では餓死している人がいることの矛盾点についても触れています。
説明の中心は中洞牧場ですが、田野畑村山地酪農研究会も取り上げられています。
10 自主独立農民という仕事 森まゆみ
バジリコ 島根で木次乳業を営む佐藤忠吉さんを紹介しています。猶原博士と直接の面識はないようですが、岡崎嘉平太さんの貯蓄論の中で猶原博士が提唱する「山地酪農」ということばを知ったと語っています。篤農家という言葉がぴったりの方です。
この本は、酪農の本というよりも、郷土史のような印象を受けました。
リンク
田野畑山地酪農牛乳
くがねの牧
農畜産業振興機構(その1)
畜産農業振興機構(その2)
農林水産省
(14 年 2 月 4 日更新)