バイクの楽しさは何でしょう。考えてみたら次のことが浮かんできました。
(1)体で感じること
月並みかもしれませんが、バイクで走ると体で天候、地形を感じます。クルマは雨風をしのげ、クーラーも
つければ夏も快適です。しかしその反面、家の中の延長とも考えられます。その点バイクは体がむきだしに
なっていますので自然の状態をそのまま甘受できます。晴れれば暖かく、雨が降れば雨にうたれ、高地に
上れば涼しくと行った具合です。よく五日市の方にバイクで散歩しに行くのですが、そこを過ぎると気温が
下がるのを感じるコーナーがあります。それ以外にもそこを過ぎると空気の感じが変わることが体感できる
場所はいくらでもあります。また匂いについても敏感に感じることができます。花の匂い、杉林の匂い、
化学工場の嫌な匂い、パン工場のいい匂い、何でも感じることができます。
これはクルマに乗っていては感じられないと思います。もっとも1年中バイクに乗っていた頃の実感としては
バイクに乗っていて気持ちがいいのは20%位、残りの80%は寒さに震えていたり、泣きそうな空に怯え
たりとホントに楽しい時間は少なかったような記憶があります。それでもやめないのは20%の楽しみが
何にも増して大きいからでしょう。最近は暖かい好天の時にしか乗らないので、ヒット率は上がりました。
(2)加速の良さ
高校生の頃、友達の400CCを運転させてもらった時に味わった加速感、これにつきると思います。
一般的にいうとバイクは加速が優れています。400CCもあれば一般の交通の流れをリードすることが
でき、自分の望む加速を得られることができます。車で同等の加速を得ようと思ったら、バイクの何倍もの
費用をつぎこまないと得られないと思います。クルマも嫌いではないので、それはそれで楽しいような気が
しますが、経済的な負担が大きすぎるのが難点です。私は速さはバイク、クルマには味を求めるように
しています。
(3)コーナリングの楽しみ
楽しみのひとつにコーナーリングがあります。遠心力と重力が作り出す不思議な楽しみです。クネクネ
曲がった道を適度なペースで走るのは快感です。自分の狙ったポイントまでに十分にスピードを殺し、
バイクを寝かせます。遠心力と重力がおりなすバランスの上で、タイヤのグリップを感じながら出口を狙い
ます。この時、アクセルはパーシャルです。出口が見えたら徐々にアクセルを開けていきます。この一連の
流れがうまくいくとスピードの早い遅いにかかわらず快感です。これは排気量の大小には関係ないの
ですが、大型車の方が曲がるのが難しい分だけ、快感度合いが高いような気がします。
(4)よそ見の楽しみ
こんなこと言っていいのか迷いますが、私はよそ見をするためにバイクに乗っていると言っても過言では
ありません。街中を散歩する時は「あれ、こんなところに新しい店が」とか「おや、珍しいクルマが走って
いる」とキョロキョロしています。郊外に行けば、山をみたり、看板を見たりしています。ちょっと気になった
道があったり、景色があると止まって眺めたり、引き返して、わき道に入ったりします。そんなこともあって
私の好きなスピードは60K位です。これくらいですとよそ見をしていても危険を回避する余地があります。
また、色々なモノが良く見えます。80Kにもなりますと、前方に神経を集中していないと危険ですし、
早すぎて得られる情報量も減ってしまいます。また、バイクのいい点は視界が広い点です。これは着座
位置がクルマに比較して高いことに加えて屋根がないためです。車はサンルーフといえども窓の上枠が
邪魔ですが、バイクは上も下も良く見えます。秋の夕暮れ時に刻一刻と色を変えていく空を眺めるのは
幸せな時間です。こんな具合によそ見をして観察しながら走ることができるのがいい点です。
(5)エンジンの楽しみ
ずばりエンジンそのものです。エンジンがかかるだけで無性に嬉しくなります。バイクは足の間にエンジン
があるので、エンジンが回っている限りエンジンの鼓動を感じないことはありません。アクセルひとつひとつ
の動きに対するエンジンの反応をリアルに感じることができます。ギアを落として回転が上がる音、
急加速時の高まる音、上限近くまで回って苦しそうな音、ギアの下限ギリギリでタペットが鳴り出す寸前
の音、上り坂の重い音、下り坂の軽やかな音。エンジンが好きな者にとっては楽しいことです。加えて
バイクにはエンジンのバリエーションが多くあります。2サイクル、4サイクルに加えて単気筒、並列二気筒、
水平対向二気筒、V型二気筒、並列三気筒、直列三気筒、V型三気筒、直列四気筒、並列四気筒、
平方四気筒、並列六気筒、OHV,OHC,DOHC、空冷、水冷、油冷と多種多様です。さすがに飛行機
みたいな星型並列こそありませんが、レシプロエンジン好きにはこの選択肢の多さはたまりません。
(2016 年 8 月 15 日に「バイクの楽しみ 2」を追加しました。)